ダイレクトマーケティングフォーラム2010 Need to become more engaged? 新しいだけの手法に意味は無い。求められるのは…、時代をつかめる手法のみ。

第2回スペシャルインタビュー ~特別講演 講師 篠原淳史氏~

篠原淳史氏

ダイレクトマーケティングは小売業に不可欠な武器

ジュピターショップチャンネル株式会社
代表取締役社長   篠原 淳史

テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネルが目指すのは、この未曽有の消費不況を“チャンス”に転じさせることだ。他社とのパートナーシップによる連動や自社内におけるクロスメディア施策を通じ、事業の相乗効果および消費者との接点拡大を狙う。

厳しい経済環境は小売業界にとってチャンスでもある

昨今の消費不況により通信販売も含めて小売業界全体が厳しい状況だが、そのような中でも各社は必死に知恵を絞り戦っている。これまで使っていなかった販売ルートを開拓し、そこに既存のルートをどのようにして掛け合わせていくかに懸命だ。ただ、成功させるためには単なるルートだけでなく、媒体や商品やコンテンツなどを幅広く連動させることが重要となる。このように店舗を構える企業や通信販売といった業態を超えて、世の中の小売業全体が従来の販売手法だけでは生き残れない時代に突入している。

その背景には、ここ5~10年のトレンドとしてインターネットが急成長し、ネット通販が伸びたということがある。

同様にモバイル通販やテレビ通販の市場も大きく拡大した。こういった状況を見る限り、数年前から自分が持論としていた「ダイレクトマーケティングという手法は小売業全体にとって必要不可欠な武器」との理論がより現実化しているといえよう。

その現実の中で、通販も含めた小売業は大変厳しい戦いを強いられている。しかしだからこそ、その一方で「小売とは」「通販とは」「テレビショッピングとは」とさまざまな角度から分析し、未知のルートやコンテンツに挑んでいく“チャンス”の時期でもあると思う。

「1+1=3」を目指し各メディアの相乗効果を狙う

消費不況が本格化し地上デジタルなど試聴環境が目まぐるしく変わる中、テレビ通販もテレビという既存ルートだけでなく新たなルートを開拓していかねばならない。たとえばジャパネットたかたさんの場合はテレビの売上高は3割程度で、あとは紙媒体やネットが大きなシェアを占めている。それぞれの媒体において顧客を相互誘導するなど「1+1=3」の効果を生み出しているが、当社も含め、これからのテレビ通販企業には同社のように柔軟な取り組みが不可欠だ。

確かに、テレビをコア媒体とする当社の売上高は1,000億円を超えているが、テレビの売上高が400億円程度のジャパネットさんはカタログやネットなどの他媒体を合わせると1,400億円近い売上高があり、当社を上回る。従ってこれからは全社の売上高規模で考えていくべきではないか。コア媒体だけに依存せず、自社が持つ媒体をいかにクロスさせ有効活用していくかが求められる。

パートナー企業との“連動”強化で事業拡大へ

当社はコア媒体がテレビという位置づけは変わらないものの、昨今はネットや紙媒体にも力を入れている。ただ、自社ですべて行うのではなく、それぞれの媒体に強いパートナーと連動するという手法を展開する。百貨店や出版社、ショッピングモールなど各パートナーが持つ媒体やルート、コンテンツ、商品と連動することで、新たな顧客層の開拓や番組試聴機会の拡大につながった。ただし、これらパートナー企業も「不況だからとりあえずテレビを使ってみよう」という考えでは成功はおぼつかない。われわれはパートナーに対し、それぞれの企業カラーやブランドに合わせたキメ細かい番組づくりに取り組むべく全力を尽くしている。こういった互いの信頼感と努力なしでは、たとえ両社が連動してもせっかくのパートナーシップチャンスを逃してしまうことになる。

今後は異業種企業にとどまらず、テレビ地上波のキー局ともコラボしていきたいと思う。コンテンツ力と電波の力が強いキー局と、ショッピングのノウハウに強みを持つ当社が連動すれば、これまでにない相乗効果も生み出せるかもしれない。今回の「ダイレクトマーケティングフォーラム2010」のテーマは“つながり”だが、特別講演ではダイレクトマーケティング市場を活性化していくこういった“連動”について話してみたい。

渾然一体の環境に勝つポイントは「面の拡大」

創業月の“アニバーサリー”である11月には毎年販促を強化し、さまざまな特別番組を制作して盛り上げる。前年のアニバーサリー売上高を超えることをミッションに取り組んでいるが、2009年もその目標をクリア。初日の売上高10億円超えという2007年の記録を、2008年に続き更新した。あくまでも2010年3月の決算に向けた通過点だが、今期も増収、さらに増益を目指す。

ただ、地上デジタル化に伴いチャンネルが増えるため、これからは各社とも既存番組への接触率が落ちていくだろう。従って今後は売上高を追だけでなく、まずは番組を見てもらうことに力を注ぐ。最近は20代、30代、40代とそれぞれの年代の女性に向けた番組づくりに挑戦。ストーリー性やエンターテインメント性を盛り込んだ番組を通じて試聴習慣をつけてもらうことが狙いだ。自社が運営するネット上のブランドセレクトショップも立ち上げ、テレビ番組と連動するなど、自社内での媒体コラボレーションも図っている。社内でも社外でもより新たな媒体やルート、コンテンツ組み合わせることで、この消費不況や環境の変化を逆に変革につなげていく。

取材協力:通販研究所

講演者 ジュピターショップチャンネル株式会社
代表取締役社長
篠原 淳史
講演内容 特別講演「今こそ変革の時!」
講演日程 2010年1月26日(火)11:20~12:20 東京会場
2010年2月2日(火)10:50~11:50 大阪会場
講演概要 24時間365日生放送のテレビショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」(2008年度売上高 1,064億円)。商品力、番組力といったこれまでの成長要因と、市場環境の変化・競争の激化に対する重点施策の説明を通じて、ショップチャンネルが思い描くテレビ通販の将来像を語ります。

講演者プロフィール

1959年 愛媛県生まれ
1981年、一橋大学法学部卒業後、住友商事株式会社に入社。一貫して、事業投資、小売関連事業に携わる。欧州住友商事(ロンドン)勤務、住商オットー出向を経て、2004年10月、ダイレクトマーケティング部長、2005年4月ファッションアパレル事業部長、2007年4月ファッション・ブランド事業部長就任。
2007年8月、ジュピターショップチャンネル株式会社代表取締役社長就任。
2008年5月、(社)日本通信販売協会 理事

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